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礼拝説教要約(20141116日)

「モーセに優る者」      聖書・ヘブライ3:1〜6

 本日の説教題「モーセに優る者」は、聖書をよく読んでいる人にとっては興味があっても、一般の人には、「あゝ、やっぱりキリスト教は外国の宗教か!」と思われるのではないかと、だいぶ迷ってしまいました。

 モーセはイスラエルを民族として最初に導いた人であり、神からの律法を民に示した人物です。ヤコブ(イスラエル)と共に一族郎党がエジプトへ移住した時は70名ほどでした。それから400年を経て、奴隷とされていたヘブライの民は、200万人ほどの民族となってエジプトを脱出したのです。その指導者がモーセでありました。彼はまたシナイ山で神から律法(十戒)を授けられ、民に対してこれを示し、神の民となる契約をヘブライ民族に結ばせたのです。それゆえ、ヘブライ民族にとってモーセは、決して忘れてはならない、と言うより忘れることのできない偉大な人物なのです。

 皆さんは、日本を民族として最初に導いた人物をご存知でしょうか。大和朝廷として最初に国をなし、導いた人物は神武天皇とされています。それ以前にも天照大御神やスサノウノ尊という人物がおりますが、これは神話の時代で、民族の指導者とは言えません。それと、日本に冠位12階や17条憲法を定めて律法を示し、天皇中心主義の中央集権国家体制を築いた人物・聖徳太子は良くご存知でしょう。ヘブライ民族にとっては、この神武天皇と聖徳太子を合わせたような、誰一人、知らぬ者がない人物がモーセであります。

 日本人とヘブライ人は似た面を持っています。日本人は単一民族(北方モンゴロイドのアイヌ民族や南方モンゴロイドの琉球民族、小笠原諸島の白人系がいて、単一民族ではないとする人々も居るが)で、神に系譜を持っている選民であるという意識が大変強い民族です。ヘブライ人もルカ福音書3章のイエス様の系図を見ると、神にまで至っています。そしてアブラハムを信仰の父とし、すべての民がその腰から出た単一民族と捉えているのです。そして、神と契約を結んだ選民であるとの意識は、どの民族よりも強く持っています。その選民思想の強さが、ヘブライ人にとって亡国(バビロンによって滅ぼされ70年。ローマによって滅ぼされ、第2次世界大戦時まで1800年以上も)を体験させると共に、そのような亡国時代を経ても再び復興した力の源でした。

 このように民族は、同族意識が大変強いのです。「天の召しにあずかっている聖なる兄弟たち」(1)と著者がヘブライ人に呼びかけたとき、ヘブライ人の「兄弟」の受け止め方は特殊なものがありました。先にも言ったように、出エジプトを通して、「神が所有して下さっている家族」という強い兄弟意識でした。そして出エジプトして40年の荒野での苦しみも、選民になるため、神が共にいることを知る良い機会であったと受け止めたのです。しかしこの兄弟意識、民族意識が罪の源でもあると言いました。それは、同族以外は異邦人・神に呪われ滅ぶべき人々と言う、偏狭な民族意識となり、差別と侵略戦争の原動力ともなったのです。このような点において、日本も同じように「神国日本・皇国の民」と誇り、侵略戦争を行ったことも、同じような意識です。

 しかしこのような意識のへブラ人に対し、この手紙の著者は意識転換をさせようとしています。それはモーセとイエス様を比べることによってです。モーセは神の家(ヘブライ民族)のため日々、忠実に仕えた者でありました。しかし、その民族を造り、導かれたお方にイエス様は忠実でありました。建てられた家より、建てたお方が尊ばれるように、モーセよりイエス様が尊ばれ、栄光を受けることは当然なのです。また、神は、ヘブライという家(民族)を造られたが、すべての民族、万物を造られたお方でもあられます。

 モーセはヘブライ人(地上の神の家)にとって最も偉大な人物ではあるが、あなたたちにとっては、神の使者であり、大祭司(神に執り成す)であるイエス様こそ、遥かに優ったお方である。なぜなら、あなたがたは「天の召しにあずかっている聖なる兄弟」つまり、天国に国籍を持つ家族であるから。

 このことは、私たちにとっても同じことが言えます。私たち日本人も、単一民族だ、神国日本は選ばれた民だ!ではなく、私たちの国を造られた神がいるのです。そのお方は全世界を造られたお方です。だから全世界が一つの家族なのです。そしてキリストは御子として、それを忠実に治めておられるのです。そのようにキリストが治めている国が神の国です。私たちがこの確信と希望を持ち続けるなら、私たちも神の家なのです。

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