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    拝説教要約(2015614日)

「信仰により義と認められる」   聖書・創世記1516

 先週も見ましたように、アブラムはカナンの地に導かれ、既に豊かな祝福を受けていました。「非常に多くの家畜や金銀」という物質的祝福を与えられていました。甥のロトを救うため略奪に来た王たちと戦い、勝利するという勢力も持っていました。そして、近隣の王の信頼を得、いと高き神の祭司であるサレムの王メルキゼデクの祝福を受けたのでした。(創世記14)

 しかし、アブラムの心には不安がありました。神の祝福の約束は、最終的には実現しないのではないかとの不安です。なぜなら、祝福は「あなたとあなたの子孫に与える。あなたの子孫は大地の砂粒のようになる」(131516)というものであるのに、その祝福を受け継ぐ子孫がいないのです。

 私たちも自分が平安で、祝福されておれば良いと考えてはなりません。子らの子までが主なる神を信じ、祝福される者でありたい。そのため、良き証し人となって、家族にも、隣人に対しても福音を伝えたい。又、社会的に言うなら、不の遺産、環境公害や特に放射能物質を次の世代の人々に残してはならない。残すべきは、神からの祝福でありたいです。

さて本題に戻って、アブラムはこの時すでに85歳位になっていたのですから、不安に感じるのは当然です。アブラムの心中を知っておられる主は、「恐れるな」と呼びかけられました。主はやはり、すべてをご存知なのだとアブラムは勇気を得ました。信頼がなければ表面のみを取り繕い、疑問があっても、本音をぶっつけられないものです。「主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ。『恐れるな、アブラムよ。…あなたの受ける報いは非常に大きい』」(1)との話しかけに、アブラムは本音で尋ねます。そう言われても、跡を継ぐ者がいなければ、どうにもならないじゃないですか。「主よ。わたしに何をくださるというのですか。わたしには子どもがありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです。」(2) 当時のしきたりとして、その家に子がいなければ、今までご主人の世話をしていた家令が跡を継ぐのです。その質問に対して主は「その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなたから生まれる者が跡を継ぐ。」(4)それだけでなく「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」(5)あなたの子孫は、このように多くなると主は答えられたのです。この約束の言葉に、今までと違って特別な保証があるわけではありません。でも、今までのアブラムと主との関係に、一つの違いが起きていました。今までは「主は言われた」と神からの一方的な啓示のみでした。しかし15章からは、主なる神とアブラムの対話になっているのです。主との間が近くなり、交わりが深まったことを示しています。アブラムは真の祈り・神との会話をするようになったことがわかります。エデンの園を追放される前の、神とアダムのような関係です。一遍の迷いもなく、主を信じ、主の言葉を受け入れられる。何と幸いな関係でしょう。

パウロは「わたしたちは主キリストに結ばれており、キリストに対する信仰により、確信をもって、大胆に神に近づくことができます。」(エフェソ312)と言いました。私たちキリスト者は、キリストの執り成しによって、神様との近く、深い関係に入れていただいたのです。だからこそ、神との会話・真の祈りができるのです。何と幸いな関係でしょう。

アブラムの不安は消え、主のお言葉をそのまま受け入れました。「アブラムは主を信じた」(6)のです。主はアブラムのこの信仰を義と認められました。ここにキリスト教信仰の最も大事な教理「信仰義認」が示されています。偶像信仰者もそうですが、創造主なる神を知っているイスラエルの民も、長く見失っていた「信仰により義と認められる」との教理は、パウロにより再発見されました。「もし、彼が行いによって義とされたのであれば、誇ってもよいが、神の前ではそれはできません。聖書には何と書いてありますか。『アブラハムは神を信じた。それが、彼の義と認められた』とあります。」(ローマ423) また「あなたがたに“霊”を授け、また、あなたがたの間で奇跡を行われる方は、あなたがたが律法を行ったから、そうなさるのでしょうか。それとも、あなたがたが福音を聞いて信じたからですか。それは『アブラハムは神を信じた。それは彼の義と認められた』と言われているとおりです。」(ガラテヤ356) 「あなたがた」とはキリスト者です。私たちの内に奇跡を起こし、「私はキリストの十字架の贖いによって、罪を赦され、義とされた」との福音を受け入れさせてくださったのは“聖霊”です。そして、長いキリスト教歴史の中で、この信仰義認の教理はまたもや見失われておりました。それを再々発見してくれたのがマルチン・ルターです。私たちはこの信仰を受け継ぐ者たちです。

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