行事案内

    礼拝説教要約(20151129日)

「主の道を整える者」    聖書・ルカ福音書16780

 私は毎週のように主の祭壇でご奉仕ができます。これは恵みであり、特権なのだと、つくづく思いました。本日の聖書箇所の祭司ザカリアが、主の聖所に入って香を炊く奉仕は、たぶん一生に一度あるかないかの栄えある時だったのです。イスラエルでは、アロン家の男児は自動的に祭司になるのであって、この頃2万人以上居たそうです。アロンはモーセの兄で、出エジプトの時、最初の祭司となるように召されました。それから1275年ほどの間に、その子孫は祭司職を継承し、増え続けたのです。それで、祭司を24組に分け、1年に2度、1週間ずつの勤務をしました。1組に1千人位ずついるのですから、最も大事な聖所内で香を炊く奉仕は、ザカリアにとって人生最高の栄誉の日でありました。

 ザカリアの妻・エリザベトもアロン家の娘で、この夫妻は家柄もその行為も申し分のない人たちでした。しかし、子どもがいないということは、引け目を感じることだったでしょう。人々からも「ザカリアさんたちは良い人だけど、神様からは祝福されていないんだよな!」と陰口をたたかれたかもしれません。しかし、この祭壇でザカリアに主の御使いが現れたのです。「ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリザベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。」(1:13)と告げました。ザカリア夫妻は「子が与えられるように」とずーっと祈っていたのです。「ザカリア」とは「主は覚えてい給う」という意味があります。主は祈りを無視されるようなお方ではありません。主はちゃんと聞いて、覚えておられるのです。ただ、主はご自身の「計画の時」を待っていたのです。

 生まれる子は「ヨハネ」。その意味は「主は恵み深い」です。神がどんなに恵み深いお方であるかを示す“主の器”となると言われました。人は祈っていても、不可能と思える状態の中で、祈りが聞かれると戸惑ってしまいます。ザカリアもそうでした。しかし、主が名付けたとおり「その名はヨハネ」と示した時、口が開けただけでなく、彼の心も定まったのです。

 「幼子は身も心も健やかに育ち、イスラエルの人々の前に現れるまで荒れ野にいた。」(:80)とありますが、愛する独り子を、覚悟がなければ荒野で育てる等致しません。ザカリア夫妻は、世俗から離れて、神の前に清く真実に生きるエッセネ派という団体に、ヨハネが乳離れした時、託したのです。それはヨハネが世俗に汚されることなく、神の前に預言者となるべく訓練され、成長するようにとの願いからでした。それはちょうど、神の民となるべくエジプトから召しだされたイスラエルの民が、荒野で訓練されたのと同じです。

 ヨハネは「らくだの毛衣を着、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜を食べ物としていた。」(マタイ3:4)とあります。その風貌は列王記下1:8「『毛衣を着て、腰には革帯を締めていました』と彼が答えると、アハズは、『それはテシベ人エリヤだ』と言った。」とある、最高の預言者エリヤそっくりです。姿かたちだけでなく、旧約聖書最後の書マラキ3:2324「見よ、わたしは、大いなる恐るべき主の日が来る前に、預言者エリヤをあなたたちに遣わす。彼は父の心を子に、子の心を父に向けさせる。わたしが来て、破滅をもって、この地を撃つことがないように。」にある、エリヤの霊と使命を持った人物となると確信したからこそ、愛児を荒野のエッセネ派集団に託したのです。

 愛する独り子だけど、自分たちの個人的喜びのために育てるのでなく、神の民の祝福となる子としてヨハネは生まれたのだと、ザカリアは聖霊によって、本日の預言的讃美をしたのです。それは、アブラハムに与えられた祝福(:73)、更に、ダビデに約束されたように、その末から生まれる救い主がついに来られる(:69)と、昔の聖なる預言者たちの預言の成就の時が来たことを示しています。「幼子よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを、知らせるからである。」(:7677)と、ヨハネの使命が解き明かされています。ヨハネは救い主がおいでになるにあたって、人々が主を受け入れるように、主に先立って、道を整える働きをする者として生まれて来たのです。

 朝のドラマの主人公・白岡あさ(実在の広岡浅子)を大阪府権判事である五代友厚は「ファーストペンギン」と称しました。それは、鳥でありながら飛べないペンギンは、海で食料を確保しなければならない。しかし海にはアザラシや鯨等、ペンギンにとっては危険な生き物がいる。その危険を承知で最初に飛び込むのがファーストペンギンと呼ばれるのだそうです。この幼な子は成長してバプテスマのヨハネと呼ばれるようになった。世を変えるため、先立って苦しみを担った彼と、ファーストペンギンの呼び名が重なった。

新着情報











Copyright(c)Okamura Church All Rights Reserved.