行事案内

礼拝説教要約(201627日)

「ただお言葉をください」   聖書・ルカ福音書7110

 先週は「権威あることば」と題して、イエス様の発する言葉は、天地を創造された権威ある“ことば”そのものであることを語りました。それゆえイエス様のことばには行動が伴い、実現するのです。

 今日は、その権威あるイエス様のことばに、全き信頼を寄せている異邦人の信仰者から学びたいと思います。

 カファルナウムには軍隊が駐屯していました。ローマ式軍隊の百人隊長は軍の花であり、憧れの的でした。服装があでやかで格好良いという見た目だけではありません。階級、家柄に関係なく、誰でも努力すればなり得る地位だったからです。だからがんばってこの地位を得た百人隊長の中には、酸いも甘いも噛み分ける人が多くいました。苦しみ悲しみの人生経験を積んだからこそ、他者の痛みをも知るようになったのでしょう。聖書の中には、この箇所だけでなく、素晴らしい百人隊長が多く登場します。(ルカ2347、使徒言行録101~、27:43等)

 「イエスのことを聞いた百人隊長は、ユダヤ人の長老たちを使いにやって、部下を助けに来てくださるように頼んだ。」(:3)と、ここだけ読むと、特権を利用している人を連想します。確かにローマ人は、ユダヤ人を捕まえて自分の荷物を負わせ、ついて来るように命じることが出来る特権がありました。イエス様もこのことを「だれかが、1ミリオン行くように強いるなら、一緒に2ミリオン行きなさい。」(マタイ5:41)と、被支配下にあったユダヤ人の積極的な受け止め方を勧めています。でも、読み進んで行くと、この百人隊長はそのようなひどい人物ではなく、優しい、謙遜な、そして何よりも信仰篤い人であったことが分かります。

 「優しい」とは、人偏に憂いと書くように、憂いを知る人です。それは他者の悲しみ、苦しみを共感できる人です。自分が苦しみの体験をしたからこそ、他者の苦しみも分かる人になり得るのです。部下(マタイでは僕=奴隷)の病気の苦しみを癒してあげたいとの優しさ。支配されているにも関わらず“自分たちは神に選ばれた民、異邦人は見捨てられた民”と、ユダヤ人は異邦人を軽蔑していました。だから、異邦人たちはユダヤ人を嫌悪する傾向が強かったのです。でもこの百人隊長は、ユダヤ人を嫌悪することなく、愛し、助け、会堂さえも自腹で建ててやりました。「長老たちはイエスのもとに来て、熱心に願った。『あの方はそうしていただくのにふさわしい人です。わたしたちユダヤ人を愛して、自ら会堂を建ててくれたのです。』」(:45)とあるように、このユダヤ人の長老たちは、この百人隊長の優しさに触れ、尊敬していたのです。ユダヤの長老たちは喜んでイエス様への使いをしたのです。それはこの優しさへの恩返しだったでしょう。長老たちのイエス様への熱心な懇願にそれが良く現れています。

 謙遜さは「主よ、御足労には及びません。わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ですから、わたしの方からお伺いするのさえふさわしくないと思いました。」(:67)との言葉によく表れています。百人隊長は“イエス様は聖なるお方。私は罪ある汚れた者”と告白しているのです。だからお会いして、イエス様を汚し、神のご奉仕が出来ない状態にしては申し訳ない。ましてや、異邦人の我が家においでいただくなど、とんでもないことと思い、ユダヤ人の長老にお願いしたのでした。

 「言っておくが、イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。」(:9)とイエス様が感心したほど、この百人隊長の信仰は見上げたものでありました。彼は偶像礼拝の環境の中に育ちましたが、このとき既に、“イスラエルの民をエジプトから導き出した神こそ、唯一の真の神である”との信仰を持っていたのでしょう。このような異邦人の信仰者を、聖書の中に散見できます。使徒言行録8章のエチオピアの高官や10章の百人隊長コルネリウスの一家、16章のマケドニア人(この幻の人物がルカであろう)等です。

 そして百人隊長は軍人としての体験から「わたしも権威の下に置かれている者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」(:8)と、言葉は、権威ある人格に裏打ちされており、必ず実現することを知っていました。イエス様の権威は、神と同質の権威であり、そのイエス様の発する言葉は、全てのことを可能にすると、この百人隊長は信じていたのです。だから、「ただ、お言葉を下さい」(:7口語訳)と言ったのです。私たちもこの百人隊長に倣い、神の言葉・聖書を固く信じてまいりましょう。

新着情報











Copyright(c)Okamura Church All Rights Reserved.