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礼拝説教要約(201658日)

「願い続ける信仰」     聖書・マタイ福音書152128

 今日の聖書箇所には、真の信仰の祈りを見ることができます。
    イエス様の周囲には常に、願い求めを持つ人々が群がっておりました。イエス様の話を聞くため、また、悩みを解決してもらうためでした。神のみ力による奇跡を見、群衆は益々溢れ、四六時中、ついて参りました。今流に言うなら「追っかけ」であります。だからこそ、神の子としての働きをするために、イエス様は人々から離れ、朝まだき一人で祈ることが度々ありました。でも、イスラエルの中には、静まって祈れる所がありませんでした。

しかし今回は、「イエスは、御自分が必ずエルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受けて殺され、三日目に復活することになっている、と弟子たちに打ち明け始められた。」(マタイ1621)とあるように、御自分の受難の時が近づいていることに気付いておりましたから、どうしても祈らなければならなかったのです。だから祈りを邪魔されない異邦人の地・フェニキアのシドンへ行くことにしたのです。しかしここにも、“イスラエルに、ダビデの子孫から現れると預言されていた救い主が、ついに現れたようだ!”という、イエス様のニュースは伝わっていたようです。なぜそのような預言をシドンの人々が知っていたのでしょう。今、祈祷会で学んでいる列王記上に“預言者エリヤが、イスラエルの干ばつを預言し、主より、シドンのサレプタのやもめのもとに難を避けるように言われました。その時、このシドンで、「壷の粉は尽きることなく、瓶の油もなくならなかた。」との奇跡。また、この女性の病気で死んでしまった息子を生き返らせる”という奇跡を行なった(17章)ことが記されています。800数十年前の出来事ですが、このことはイスラエルの預言者の力と真実を強烈に印象付けることとなり、今に至っていたのでありましょう。

 このシドンの地に生まれたカナンの女は、イエス様が来たというニュースを聞いて出て来「主よ、ダビデの子よ、わたしを憐れんでください。娘が悪霊にひどく苦しめられています」(:22)と叫び訴えました。しかし、イエス様は黙しておられました。弟子たちイエス様に近寄ってきて「この女を追い払ってください」(:23)と願いました。追い払うだけなら、弟子たちにもできたはずです。そして試みたはずです。しかし、この女は益々、叫びながらついて来たのです。だからこそ弟子たちは「願いを聞いて、早く追い払ってください」と言ったのです。イエス様が黙しておられたのは、この弟子たちを、訓練する必要があることを知っておられたためでもありました。弟子たちは、願い事を持って来る人よりも、自分たちの都合を優先しました。このような弟子たちの対応は、イエス様の弟子・キリスト者として相応しくありません。「自分自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい。」と言われた主に倣い、成長して欲しかったのです。

 イエス様が「わたしは、イスラエルの家の失われた羊のところにしか遣わされていない」(:24)と言われたのは、弟子の願いを受け入れたからではありませんでした。「目は口ほどにものを言う」という諺がありますが、イエス様の顔には微笑があったようです。なぜなら、この女性の言動は愛によるものであり、又、堅い信仰によるものであることを、主はご存知でした。この女性は主の愛を信じ、預言者としてではなく、礼拝すべきお方として「主よ、どうかお助けください」とひれ伏します。このような信仰があるからこそ、「子供たちのパンを取って小犬にやってはいけない」と主に言われても、彼女の必ず願いはかなえられるとの確信は変わりませんでした。かえって「主よ、ごもっともです。しかし、小犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです。」(:27)と、余裕を持って答えます。差別され、否定されていると感じるなら、「何でそんなことを言われるのですか!」と怒ったり、失望落胆したりと、感情をあらわに対立してしまうでしょう。しかし彼女は、イエス様の言葉を「ごもっともです」と肯定しているのです。“自分は選ばれた神の民ではなく異邦人です”と立場をわきまえています。でもイエス様は私を、ユダヤ人たちが言っているような「野良犬」としてではなく、家に飼われている可愛い「小犬ちゃん」と呼んで受け入れてくださっていると、主の愛を信じているからこそ言える返事でした。

 主イエス様の愛を確信して願い続ける者を、主は受け入れてくださいます。この異邦の女性は「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。あなたの願いどおりになるように。」(:28)と願いを聞き入れられました。それだけでなく、私たち主を信じる者の、祈りのお手本となってくださったのです。

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