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礼拝説教要約(201673日)

「大水の中から引き上げ」  聖書・出エジプト122210

 「ファラオは全国民に命じた。『生まれた男の子は、一人残らずナイル川にほうり込め。女の子は皆、生かしておけ。』」(1:22)との命令は、現代にあっては決して考えられない言葉です。しかし、奴隷は物を言うことのできる道具と考えられていた時代であれば、あり得たことなのです。

 このように差別、迫害されたイスラエル人は、この時から400年前、ヨセフがエジプトの司政者であった時、大飢饉を避け、全家をあげてエジプトへ避難してまいりました。「お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。」(創世記41:40)「ヨセフはエジプトの司政者として、国民に穀物を販売する監督をしていた。」(42:6)「ヤコブの腰から出た者で、ヤコブと共にエジプトに行った者は、…ヤコブの家族は総数70名であった。」(創世記46:26~27)

 しかし、時が過ぎ、「そのころ、ヨセフのことを知らない新しい王が出てエジプトを支配し、国民に警告した。『イスラエル人という民は、今や、我々にとってあまりに数多く、強力になりすぎた。』」(出エジプト1:8~9)と王朝が変わり、新しい王は、イスラエルの数の多さに脅威を感じていました。そしてイスラエル人を強制労働で虐待し奴隷としました。しかし、虐待されればされるほど、民族の一致団結は強くなり、ますます増え広がって行きました。(1:12)

 ついに、王は助産婦に、生まれて来る男の子を殺すよう命じました。でもそのような企てがうまく行くはずはありません。エジプト王の思い通りにならず、ついに先のような命令が出されたわけです。

 しかしこれが神の計画の時だったと言えましょう。「ヨセフは兄弟たちに言った。『わたしは間もなく死にます。しかし、神は必ずあなたたちを顧みてくださり、この国からアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた土地に導き上ってくださいます。』」(創世記50:24)との預言は、これを機会に動き出しました。

 ゴシェンの地のイスラエル人は、推計200万人はいたであろうと思われます。だから毎日何十人も子どもが生まれていたのです。でも生まれて来る男の子は、エジプトの兵士によって見つけられるとすぐに殺され、ナイル川に放り込まれてしまいました。そのような時、レビ族の中に生まれた一人の男の子が両親の護りの中で、3ヶ月生き延びました。しかし、隠しきれるものではありません。この両親は「パピルスの籠を用意し、アスファルトとピッチで防水し、その中に男の子を入れ、ナイル河畔の葦の茂みの間に置いた。」(:3)のです。このアスファルトとピッチで防水した籠はノアの箱舟と同じ言葉で書かれています。

 人の心が罪に満ち、滅びしかない世界になった時、神はこの世に介入されます。それがノアの箱舟をして、人間を生き延びさせられたことであり、アブラハムをして、全人類の祝福の基となるよう、約束の地へと導くことでした。そして今、神は男の子を入れた籠をナイル川から引き上げさせることによって、御自分の救いの計画を前進させようとしているのです。

 神がこの世に介入なさる時、ある者は裁かれ、ある者は救われるのです。その分岐点は信仰です。又、神は人の心を見て、御自分の業を成し遂げるためにお用いになるのです。エジプトの中にも、イスラエル人の子を殺すことを良しとしない人はいました。ファラオの王女もその一人でした。神は王女に、葦の茂みの間の籠に目を止めさせました。王女はその籠を取ってこさせ、開けてみると赤ん坊がおり、しかも男の子で、泣いていました。(:5~6)王女は籠の中の赤ちゃんがイスラエル人の子であることを知りつつ、育てることを決意したのです。水の中から引き上げられた赤ちゃんは、その子のお姉さんの機転により、実の母の乳を飲んで育ちました。そして「その子が大きくなると、王女のもとへ連れて行った。その子はこうして、王女の子となった。王女は彼をモーセと名付けて言った。『水の中からわたしが引き上げた(マーシャー)のですから。』」(:10)とあるように、この赤ちゃんはその出来事にならって、モーセと名付けられました。

 実は、私たちも水の中から引きあげられ(モーセ)、救われた者なのです。この赤ちゃんモーセを乗せた籠は、ノアたちを乗せた箱舟と同じ言葉であると先に言いました。この箱舟について新約聖書では「この箱舟に乗り込んだ数人、すなわち8人だけが水の中を通って救われました。この水で前もって表された洗礼は、今やイエス・キリストの復活によってあなたがたをも救うのです。」(Ⅰペトロ3:20~21)と言っています。信仰をもって、水の中から引き上げられる(洗礼を受ける)者のみが、神の約束の地に入る祝福を受けられるのです。

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