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礼拝説教要約(2016102日)

「主よ お話ください」     聖書・サムエル記上3110

 「祈るサムエル」という題のジョシュア・レノルズという人が描いた絵は有名です。暗闇の中で少年が、寝巻き姿のまま跪いて、光(神)に向かって手を合わせ祈っている絵です。この少年こそ今日の主人公・サムエルです。

 ヨセフォス(1世紀、未だイエス様の弟子たちが生きていた時代に活躍したユダヤの歴史家。ユダヤ民族の歴史を描いたユダヤ戦記、創世記時代からユダヤ戦争(ユダヤの滅亡)までの歴史を書いたユダヤ古代史の著者)という最も信頼性のある人によると「サムエルは預言し始めた時、すでに12才の年を終わっていた」とあります。ですからサムエルが主の「サムエルよ。」との呼びかけを聞いたのは、13歳ごろであったろうと思われます。

 何故このような少年が、ただ一人で主の神殿に寝ていたのでしょう。彼は祈られ、約束の中に生まれてきた子でした。ハンナは夫エルカナに愛されていましたが、なかなか子供が生まれませんでした。ハンナは神殿で「はしために御心を留め、忘れることなく、男の子をお授けくださいますなら、その子の一生を主におささげし、その子の頭には決してかみそりを当てません。」(サムエル上1:11)と誓いを立てました。そして生まれてきた子がサムエルだったのです。母ハンナはサムエルを身元に置き、慈しみ、「乳離れした後、ハンナは3歳の雄牛1頭」(1:24)等、捧げ物と共に、神殿に連れて来て「わたしは、この子を主にささげます。この子は生涯、主にゆだねられた者です。」(:28)と言って、最後の士師であり、祭司であるエリに委ねたのです。母にとって、誓ったとはいえ、年端も行かない子をナジル人(聖別された人)として献げることは辛かったでしょう。それだけに、この母ハンナは背後からサムエルのために祈り続けたことでしょう。このような慈愛をもって見守り、祈る祈りを私たちも倣いたいものです。

 13歳とはいえサムエルの神殿での訓練生活は10年を経ていました。ですから、イスラエルの民を導かれた創造主なる神について学び、良く知っていたでしょう。しかし、「サムエルはまだ主を知らなかったし、主の言葉はまだかれに示されていなかった。」(:7)とあります。これは神を体験的に知らなかったということです。つまり、主なる神からの語りかけを体験したことは無かったということです。この時代は霊的低迷の時代だったので、「主の言葉が臨むことは少なく、幻が示されることもまれ」(:1)でした。その上、エリの目もかすみ、見えなくなっていたとは、国の霊的状態も、過ちを平気で犯している自分の子ども達のことも見えなくなっていた(2:22~29)ということでしょう。士師記の最後にあるように「そのころ、イスラエルには王がなく、それぞれ自分の目に正しいとすることを行っていた。」(21:25)のです。ただ一縷の望みは「まだ神のともし火はきえておらず」(:3)です。

 絶対者なる神を知らない国、人、時代は自分が正しいと感じることを行うより仕方がないのです。しかしそれは何と過ちの多いことでしょうか。アダムとエバが罪に落ちていった原因でもあります。そして現代も、日本も、永遠に変わることのない真理を知りません。すべての造り主である神の言葉を知らないからです。それゆえ、人の考え方は多様化し、能力、権力、財力を持った者が支配する、力の時代となります。このような時代は人間をランク付けし、格差が広がって行きます。一方、そのような時代を過ぎて、多数決による民主化の時代を多くの国々で迎えていますが、ここにも確信はなく、真の正しさを行なう道を知らず、希望の持てない時代になっていることも確かです。

 神殿で寝ていたサムエルは主に呼びかけられ、それとはわからず、エリ先生に呼ばれたと思い、起きてエリのもとに走って行きました。しかし、「わたしは呼んでいない。戻っておやすみ」とエリは言いました。同じことが3度もあって、エリはサムエルを呼ばれたのは主であると悟りました。そしてサムエルに「戻って寝なさい。もしまた呼びかけられたら、『主よ、お話ください。僕は聞いております』と言いなさ。」(:9)と教えました。サムエルは床についても、もはや眠れなかったのでしょう。「サムエルよ」との呼びかけに、「どうぞお話ください。僕は聞いております。」(:10)と即答しました。

 このように心から言える時、これは信仰の決断、告白です。今までは自分の考えで行動し生きてきた。しかしこれからは、主のお話しくださるお言葉に従って、御旨を、いかなる時も生きるとの決断です。そのためにも、サムエルのような純な心で、大人なら、心をむなしくしてと言うべきでしょうか、光なる神に顔を向け、「主よ、お話ください。僕は聞いております。」と祈り求めることが必要です。

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