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礼拝説教要約(2016124日)

「受 知」         聖書・ルカ福音書12638

 光について証しする者・ヨハネの誕生を、ザカリアに告知した天使ガブリエルは、その6ヵ月後、エルサレムから遠い北のガリラヤの寒村ナザレに現れました。

ダビデ家のヨセフという人のいいなずけとなっていたマリアに神の御旨を告知するためです。イスラエルでは昔の日本と同じように、親が結婚相手を決めて婚約させ、結婚の年頃となる10代半ばになると結婚するというのが普通でした。マリアも丁度この年頃だったようです。

 彼女のもとに来た天使ガブリエルは、「おめでとう、恵まれた方、主があなたと共におられる。」(:28)と言いました。何のことか解らず、戸惑い恐れているマリアにガブリエルは「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。」(:30~32)と言いました。子どもが与えられるということは、確かに恵みです。その上、イスラエル人にとって、最も愛するダビデの王座を継ぐ偉大な人となると言うのです。これ以上の祝福は無いと言ってよいでしょう。しかしそうであったとしても、自分は婚約をしているけど未だ結婚していない。男子を知らない自分に、子どもが生まれるはずはないといぶかるマリアに、天使は更に答えました。それが今日の聖句です。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む、だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」(:35)

 マリアは純粋で信仰深い女性でした。マリアについての家系は記されていませんが、アロン家の娘であるエリサベトと「親類」と記されています。だから、マリアもまた祭司系の流れを継ぐ家庭で、両親によってしっかりとした宗教教育をされ、神を信じる者として育ってきたとこでしょう。「神にできないことは何一つない。」(:37)と言う天使の言葉を、そのまま素直に受け入れざるを得ませんでした。全能の神の霊が自分に男の子を授ける。人知では有り得ないことでも、神には出来る。そして今それがわが身に起こっている。神の霊によって与えられる子だから「聖なる神の子」なのだと、自分に与えられた運命を受け入れました。

 でもこれは、喜ばしいことというより、命を懸けた信仰の決断と言わなければなりません。イスラエルの律法によれば、婚約の身で、赤ちゃんを産むことになれば、婚約解消どころか、死をもって償わなければならない罪だからです。

 だから、マリアは天使の告知を「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」(:38)と受け入れましたが、不安や疑問が全くなくなったわけではありませんでした。「あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう6ヶ月になっている。」(:36)と言った天使の言葉を確認したかったのです。又、ほんとうに、エリサベトが身ごもっているのなら、「おめでとう!」と、神の恵みに対する祝詞をも伝えたかったのでしょう。マリアは急いでエリザベトを訪ねました。「そのころ、マリアは出かけて、急いで山里に向かい、ユダの町に行った。」(:39) のです。

 といっても、お隣に行くような気楽なものではありません。ナザレからユダの町エルサレムまでは、直線でも100キロメートル以上、道なりに行けば140kmはあるでしょう。一日10時間歩いても3,4日はゆうにかかる道のりです。信仰熱心な家庭に育ったマリアは、両親に連れられて、過ぎ越しの祭り等に何回も、エルサレムには行ったことが有ったでしょう。とはいえ、156才のおとめが一人旅するのは大変なことだったろうと思います。それでも彼女は、どうしても、行きたい、それも急いで行き、天使の言葉の真実を知りたかったのです。

 このような驚き、不安を覚えつつも、恐れに打ち勝って、神の御旨を受け入れた純粋な信仰者の姿は、心に感動を与えずにはおれません。多くの人に感動を与え、その心に、このマリアの姿は刻み込まれました。

この受胎告知の場面を、多くの画家が描いております。今回、私は「受胎告知」でインターネットを開いてみました。すぐにも、29の作品を見出しました。レオナルド・ダ・ビンチやボッティチェリ、ラファエロ等聞きなれた名前、その他、有名ではありますが、私にはあまり馴染みのないフラ・アンジェリコやエル・グレコ等、多くの人が描いています。一人で何枚も描いている人もいます。このように、マリアの純粋な信仰。告知を聞くマリアの驚きと不安な表情。しかし、決然として御旨を受け入れてゆく覚悟が、画家たちの絵心を誘い、このような多くの作品を生み出させたのでしょう。

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