行事案内

礼拝説教要約(2018318日)

ゲッセマネの祈り」     聖書・マタイ福音書263656

 過越の祭り、それはイスラエルの民にとって勝利を記念する喜びの祭りでありました。主イエス様との最後の晩餐(主はご存知であったが、弟子たちは知らなかった)の後、「一同は賛美の歌を歌ってから、オリーブ山へ出かけた。」(26:30)とある賛美は、イスラエルの民が過越の祭りに読むことにしている詩編113篇~118篇の「ハレルヤ」の賛美であったでしょう。ちなみに、ハレルヤとは「ヤ=ヤーウェ()」を「ハレル(ほめたたえよ)」であります。彼らはオリーブ山へ向かう時も賛美していたでありましょう。でもイエス様は、自分の時(過越の贖いの子羊として十字架の上に死ぬ時)がきたこと、そして、このために人となって、この世に来たことをご存知でした。これこそがサタンに勝利し、人間を罪から解き放つ唯一の道なのですから。神の子イエス様にとってこの死は何でもないことだったでしょうか?いえ、そうではありません。イエス様も私たちと同じ人間として、痛み、苦しみ、悲しみも同じように感じたのです。ですから、神との交わりである祈り、その祈りのために、いつもの祈りの場であるゲッセマネ(油絞り)の園へ行かれたのです。

 過越は勝利ですから、喜びの賛美であります。「ハレルヤ。主の僕らよ、主を賛美せよ。主の御名を賛美せよ。今よりとこしえに、主の御名がたたえられるように。日の昇るところから日の沈むところまで。主の御名が賛美されるように。」(113:1~3)「イスラエルはエジプトを、ヤコブの家は異なる言葉の民のもとを去り、ユダは神の聖なるもの、イスラエルは神が治められるものとなった。海は逃げて去った。ヨルダンの流れは退いた。」(114:1~3)と、偉大な勝利を喜んでいます。

しかし、現実において、エジプトの名によって代表される「この世」に勝利し、脱出するためには、過越しのために、犠牲の子羊が必要であった。「神の子羊」と呼ばれたイエス様こそが、神の裁きを過ぎ越すために殺される真の犠牲の子羊なのです。なんと大きな代償でしょう。これが、「悲しみもだえ始められた。」(:37)とある原因です。

十字架に釘付けられる痛みはもちろんですが、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ(わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか)」(マタイ27:46)と叫ばれたように、父なる神に見捨てられるという苦しみこそ、その悲しみの最たるものでした。だからこそ私たちは、「神が共におられる」という、神の祝福の素晴らしさをもっと、もっと、心に留めたいものです。

すべてをご存知であり、奇跡を起こす力を持っておられるイエス様が、「わたしは死ぬばかりに悲しい。ここを離れず、わたしと共に目を覚ましていなさい。」(:38)と弟子たちに願い事をしたのです。心と思いを一つにすることがどんなに大事かを示しています。そしてイエス様は祈ります。「父よ、できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願いどおりではなく、御心のままに。」(:39)と。十字架の死という神に見捨てられた象徴の死ではなく、別の道で、人間を罪から救う道があればと願う。しかし、どんな努力、権力、財力を用いても、人間の罪を取り除く道はないのです。

イエス様の祈りは、ゲッセマネの名にふさわしく、最後の1滴まで油を搾り出すような祈りでした。ルカはこの事を「イエスは苦しみもだえ、いよいよ切に祈られた。汗が血の滴るように地面に落ちた。」(ルカ22:44)と、医者らしく表現しています。しかし、主イエス様はついに勝利され、「父よ、わたしが飲まないかぎりこの杯が過ぎ去らないのでしたら、あなたの御心が行なわれますように。」(:42)と祈られました。これは、主が私たちに教えでくださった主の祈りの「みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ」であります。これは、すべてを神に委ねきる心であり、そして、神の御心こそが最善であると確信できた姿です。それはなんと幸いなことでしょう。

この祈りの場に、イエス様を裏切ったユダに導かれて、祭司長や長老の遣わした兵士、群衆がイエス様を捕らえに来ました。もはやイエス様には、不安も恐れもありませんでした。イエス様と共に死のうと言ったペトロが、大祭司の手下に切りかかったときも、「剣をさやに納めなさい。」(:52)と言われ、弟子たちを守りました。そして「必ずこうなると書かれている聖書の言葉がどうして実現されよう。」(:54)と言われ、自ら進んで捕らえられたのです。神の御旨がなることが、イエス様の願いであり、歩みとなっていたからです。

私たちも、どのような道であろうとも、祈り、主が願っておられると確信できる道を歩けるなら、それが最高の道です。

新着情報











Copyright(c)Okamura Church All Rights Reserved.